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2026.03.11

センチメンタル・バリュー

「記憶の船としての“家”、移ろう中での“家族”」


女優の姉ノーラと、家庭を持つ妹アグネス。
その母の葬儀に、

長年音信不通だった父が現れる。


映画監督の父グスタヴは、娘ノーラを主演に
15年ぶりの新作長編を作ろうと考えていた。
ノーラはそれを拒絶する。


家族を捨てたグスタヴが新作で描いたのは、
“家”と“親子”の物語だった。


「“家”は単なる建物ではなく、

    その中で揺れる感情や時間を

    いつまでも蓄えている」


「“親子”というつながりは、

    意識的かどうかに関係なく、

    何かを受け渡して続いていく」


という二つの文脈で描かれる本作。


成熟した大人たちの、

未熟でたよりないつながり合い。


今“個人”で生きている気がする私たちも、

やがて“家族”に近づいてゆく。


同じように、いつか受け取る側から

渡す側へと移らなければならない。


作中の“家”の描写をなぞるように、
幼い頃おもちゃを落として

へこませてしまった木目の床と、
3シーターのソファの定員以上に

集まった笑い声を、なんとなく思い出した。

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