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2026.01.21

冬の旅

「死から始まる放浪少女の数週間」


1985年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品


孤独な18歳の少女モナは、寒々しい冬のなかを

ヒッチハイクで放浪している。
道中、大学教授や屋敷の女中、

牧場を営む元学生運動のリーダーなど、

さまざまな人々と出会う。


この作品が他の紀行映画と決定的に異なるのは、

映画の冒頭で主人公モナの凍死体が

発見される点だ。


映画は、彼女が死に至るまでの

数週間の足取りを、

路上で出会った人々の証言を通して辿っていく。


道中で出会った人々は、

モナの死を知らないままで、

「自由で羨ましい」「汚くて怠け者」などと

それぞれに語るが、

誰も彼女の本質に触れようとしない。


監督のアニエス・ヴァルダは、

本作のテーマを「自由」と「汚さ」だとし、

こう語っている。


「私たちの時代は、汚さに対して

 ひどく排他的だと思います。(……)

 貧しい労働力は必要とするけれども、

 清潔でなければならないというわけです」


モナは、社会から解き放たれた

幸せな自由主義者なのか。
それとも、社会から弾き出された

不幸な犠牲者なのか。
無口な彼女は答えをくれないため、

観客は自分なりの答えを見つけるしかない。

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