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2025.10.29
ルノワール
「人が死んで泣くのは、
誰が可哀想だからなのか。」
冒頭、「人が死んだら泣く。
どうして泣くのだろう。
死んだ人が可哀想だから泣くのか、
自分が可哀想だから泣くのか。」
という少女のセリフから、
この映画は始まります。
『ルノワール』は、小学5年生の少女フキが、
夢想と子ども遊びを通して、
自分の世界を保ちながらも、
理解できない大人の世界と繋がろうとする——
残酷で純粋な物語でした。
少女はいつも夢と現実の境が曖昧で、
それは不完全な世界を
まっすぐに生きるための彼女なりの方法。
いつも夢想していて、
それを大人に覗かせるけれど、
大人にはそれを捉えられない。
そして大人もまた、
本当はそれぞれに不安定で、
孤独や弱さ、歪さを抱えた存在である。
そんな、物語の中では
零れ落ちてしまいがちなリアルを、
繊細に描いた作品です。
また、死や別れ、
何かに対する人物の心情などを
決定的に描かず、
あえてぼやかして余白を残す演出には、
「この作品が見る人の感受性によって
どこまでも広がっていくように」と
語る早川千絵監督の意図が感じられます。
かつて幼かった誰もが知っている
「言語化できないけれど、
漠然と肌で感じていた
世界と自分とのバランスの違い」を
思い出させられます。
こどもでも大人でもない
今の私たちの視点は、
きっとこの物語を宙から
眺めることができると思います。
ぜひ観てみてほしいです。
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